フィルム撮影の映像美と珠玉の音楽の中で交錯する再生と誕生の物語

こんなにも自然に心の機微を映像と歌で表現した映画がかつてあっただろうか。
国際映画祭受賞監督である日比遊一の描く今作は、従来のミュージカル映画とは一線を画す。
抒情的な映像から、自然に生まれ出る魂の歌声。
それは大人のための音楽ファンタジーであり、観る人を物語と歌の世界にやわらかに引き込んでいく。

ぼくは個人的にリアリティのある作品が好きです。
日本の映画はどちらかというと演技を意識しているように感じることが多く、あまり好みに合いませんが、
日比監督の演出は違います。『はじまりの日』ではリアリティとファンタジーが交差する部分もありますが、自然な演技に引き込まれてしまいました。


ピーター・バラカン

かつてロックスターとして一世風靡した「男」 (中村耕一)。
ある事件がきっかけで、音楽を封印し、ビルの清掃会社で働きながら質素に暮らしている。

仕事場とアパートを往復し、生きる意味を問う事すらしない男の日々。かつて男のファンだった同僚の寺田(山口智充)が、唯一心ゆるせる相手だ。

男の隣人は会社の同僚の「女」(遥海)だった。
夜な夜な女と母親(高岡早紀)の激しいやり取りが男の部屋に響き渡ってくる。

ある日、公園で一人口ずさむ女の歌声に大きく心を揺さぶられる男。
それをきっかけに男の日々は、ゆっくりと動き出す。

男は、女の才能を確信し、昔の同僚である音楽プロデューサーの矢吹(竹中直人)にその歌を聴くよう頭を下げる。矢吹に断られながらも通い詰める男。
女の可能性を信じたアシスタント望月(岡崎紗絵)のサポートもあり、女は次第にチャンスを掴んでいく。
そして男もまた自分の歌が、他人の心に灯をともすことに気づかされる出来事が…

かつて一世を風靡したロックスター

中村 耕一KOUICHI NAKAMURA
ボーカリスト/ギターリスト/作曲家

北海道函館市出身。ヴォーカリストとしてJAYWALKに加入、アルバム『JAYWALK』(1981年)でメジャー・デビュー。「何も言えなくて・・・夏」(1991年)が180万枚を売り上げる大ヒットを記録した。同曲で日本有線大賞、日本レコード大賞など受賞。2011年3月JAYWALKを脱退。
2013年よりソロアーティストとしてライブ活動を開始。
2017年以降、様々なアーティストと共演し、全国でライブを行う。近年は日本のブルースバンド「OSAKA ROOTS」とのライブなども好評。
「歌うことが幸せだ」と数々の名アーティストと年100本以上の全国ライブを周る73歳・真のロックンローラー。

いつかスターになりたいと歌い続ける

遥 海HARUMI
シンガー

フィリピンにて3歳よりクワイヤに参加して自然と音楽の道へ。13歳の時に日本語が分からないまま日本へ移住。言葉の壁に躓きながら葛藤し、必死で言葉を伝えようとするうちに『言葉を歌で伝える』アーティストへと成長していく。2020年5月「Pride」でメジャーデビュー。そして同年日本版ミュージカル「RENT」ミミ役での鮮烈なパフォーマンスで観客を沸かしたミュージカルデビューとなった。2023年にもミミ役で再演し大成功を収めた。同年9月には日本版ミュージカル「ラグタイム」サラ役を演じ、圧倒的な歌唱力にてミュージカルでも注目されている。そして今年8月末より韓国名作ミュージカル「RUN TO YOU」初日本版公演にてセヒ役で出演。

日比 遊一YUICHI HIBI

愛知県名古屋市出身 ニューヨーク在住

20歳で俳優を目指し渡米し、1992年からはニューヨークで写真家として活躍。米国を拠点とする写真集の名門出版社ナツラエリ・プレスから出版した3冊の写真集をはじめ、作品は現在アメリカ・カリフォルニア州のJ.ポール・ゲティ美術館など、世界各国の重要なコレクターに収集されている。米ニューヨーク・タイムズ紙は日比の作品を、「夜景に映し出されたその“沈黙と孤独”は、瞑想によって達することの出来たエクスタシーのようなものを感じさせてくれる」と評した。

映画監督としては、1997年写真家で映像作家でもあるロバート・フランクのドキュメンタリー映画『A Weekend with Mr. Frank』を監督。(製作指揮は『未来を写した子どもたち』で2005年米アカデミー賞ベスト・ドキュメンタリー部門を受賞したロス・カフマンが担当) 2014年米国にて初の長編劇映画『ブルー・バタフライ』を監督(2017年12月2日日本公開)IFP*より2014年デビュー作のベスト25に選出される *IFP(The Independent Filmmaker Project)アメリカのインディペンデント映画をサポートする団体
2016年 高倉健のドキュメンタリー映画『健さん』を監督。第40回モントリオール世界映画祭 ワールド・ドキュメンタリー部門「最優秀作品賞」2017年同作品で第26回日本映画批評家大賞ドキュメンタリー賞を受賞。2019年「日比遊一監督の作品には次の作品を観たいと思わせる何かがある — 樹木希林」と言葉を遺した樹木が自ら企画を立てた映画『エリカ38』を監督。本作は北京国際映画祭にて ワールドプレミアが行われた。その後、サンパウロ国際映画祭、プチョン・ファンタスティック国際映画祭など、世界各国の映画祭に招待され、日本でも公開と同時に連日満員御礼となった。主演の浅田美代子はロンドン・イーストアジア映画祭で、「審査員特別賞」を受賞。2021年『名も無い日』では、地元・名古屋を舞台にした日比の自伝的なストーリーを映画化(主演:永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキ、今井美樹、真木よう子、他)。コロナ禍、劇場上映期間3ヶ月に及ぶ、異例のロングランとなった。ヴィム・ヴェンダース監督は 「日本の巨匠監督たちが遺した至芸のように 、『名も無い日』は実に優れた作品だ。また演技も非の打ちどころがなく素晴らしい。私は深く心を動かされた…」 と評した。

特別協賛

協 賛
中部電力株式会社/ブラザー工業株式会社/杉本食肉産業株式会社/名古屋東急ホテル/宝交通株式会社/愛知時計株式会社/株式会社スミ設備/大成株式会社/名古屋学院大学/矢野建設株式会社/たんぽぽ薬局株式会社/エフシーテック株式会社/株式会社サンエネック/ドリームカプセル株式会社/株式会社心想/株式会社グリッターエイジェンシー/株式会社サクラ/ナカシャクリエイテブ株式会社/株式会社大興油脂/株式会社萬楽庵/円銘建設株式会社 /NPO久屋大通発展会/株式会社ハマーステージ/アトリエニムラ/若松音楽事務所/THE TOWER HOTEL NAGOYA/東邦ガス株式会社

監督・脚本・プロデュース:日比遊一
プロデューサー:増田悟司 右近和紗 岡村徹也
アソシエイトプロデューサー:フランク・デ・ルーカ 加藤 剛嗣

ラインプロデューサー:大藏 穣
劇中歌プロデュース:Mayu Wakisaka (ソニー・ミュージックパブリッシング)
撮影:山崎 裕 照明:尾下栄治 録音:森 英司 サウンドデザイン:石井和之 整音・ミキサー:小林 喬
美術:高山 仁 スタイリスト:渡辺彩乃 ダンサー衣裳デザイナー:ニムラチハル ヘアメイク:遠藤一明
編集:堀 善介 陳 詩婷


協力:愛知県/名古屋市
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
製作プロダクション:ジジックス・スタジオ 2024/日本/カラー/107分